「シャトゥーン ヒグマの森」 増田 俊也

シャトゥーン ヒグマの森 (宝島SUGOI文庫) (宝島社文庫)

シャトゥーン ヒグマの森
増田 俊也 / 宝島社 (2007/2、文庫2009/6/5)


評価:★★★☆☆


「グロ好きだったよね」という理由で友達が貸してくれた作品。
そりゃ好きだけど、何かしらこの迫害感。


シャトゥーンとは冬眠に入るタイミングを逃してしまい
食料を探して雪山を徘徊しているヒグマの事。
飢えて、凶暴性が増し、家畜や人間を襲う、非情に危険な状態にあるヒグマだ。
神奈川県ほども広さのある北海道天塩研究林の中
猛禽類研究所・北ノ沢小屋に正月を共に過ごそうと集まった主人公達は
運悪くも、シャトゥーンに狙われる事となる。
電話も車もない。食料もない。外は吹雪。
小屋の外には人間の肉の味を覚えたヒグマが待ち構えている。
彼らはこの森から脱出する事が出来るだろうか・・・。


第5回「このミステリーがすごい!」で優秀賞を受賞しているとのことですが
ミステリー作品かと言われると「?」ですね。
どちらかと言えばサスペンス。
モンスターパニックや動物パニックものと言った方が正しいか。

とは言え、動物系恐怖作品は、小説も映画もあまり見た事がないもので
あんな感じという具体例が出てこないのですが
私の知識の範囲で言うならば
「13日の金曜日」のジェイソンがヒグマになった版か。
だからって危機感無くHとかしてるカップルが
真っ先に殺されるなんて事は無かったですけどね(笑)。


そんなわけで、ヒグマである。

漠然と「クマって怖い」という意識は誰にでもあると思うのですが
でも正直な話、この作品を渡されて「ヒグマに追われて怖い小説」と言われても
ピンとこないと言うか、あまり怖い感じがしなかった私。
死んだふりは流石に駄目でも、下手に刺激しなければ逃げられそうじゃないですか。
しかしそれは、ただ自分にヒグマの知識が無かったからだって事に
嫌ってほど気付かされましたよ・・・。
ヒグマ、マジ、ヤバイ。

本当、ビックリです。
とにかくスピードとかチカラとか身体能力がハンパない。
陸上の生き物として、そこまで能力持つ意味あるのか?ってくらい凄い。
更に頭脳戦も仕掛けてくるとかもー人間完敗。

しかし、ヒグマの本当の恐ろしさは
それら凄い能力の数々にではないのですよ・・・。
ヒグマの怖さ。それは性格!!
性格が凄い!!凄いっちゅーか“悪い”!!

自分が狩って、自分のモノだと認識した獲物は絶対に他人に渡さない。
回収された死体を取り戻しに、葬式会場に乱入してくるって
どんだけの独占欲じゃぁぁ!!

あと、すぐ息の根を止めてくれないとかもね。
一発バツーンでひと思いに殺してくれてだよ
ムシャムシャ食べられるならいいよ、いや良くないけど、まだいいよ。
なのに、1時間以上生きたままムシャムシャされるとかもー本当勘弁!!

なんて言いますかね、野生の動物と言うものは、紳士的っていうかさ
肉食なんだから動物を狩って食べるけど
でも必要以上に残酷な事はしないっていうか
なんか良くわからないけど、でもそういう、野生の気高さみたいなものが
あるイメージをもってたのですよ。
そんなもんは、私の甘ちゃんな考えだったって事か・・・。

ああ良く考えたら、ネコとかもネズミを弄んでから食べたりするもんね。
ああ・・・あー・・・(遠い目)。


そんなわけで、ヒグマがいかに恐ろしい動物であるかが分かる
とてもタメになる小説でありました。

うん、そう。
正直に言いますと、ハラハラドキドキはもちろんしたのだけれど
でも主人公達の逃げっぷりとか、戦いっぷりとか、展開とかよりも
ヒグマトリビアに「へー」と思い、間違った自然保護のあり方に「ふーむ」と思う
そんな事の方が多かったでした。
そうウンチク量が多かったんだよね。

でもそのウンチク。つまり知識が無かったら
ヒグマの怖さもここまで伝わらなかっただろうし。
だから無駄とも言えない。難しいところだな〜。


他色々思った事
・ギンコがあの小屋を襲ったのに、ちゃんと理由があったところは◎。
・友に言われたほどグロではなかった。
・最後が結構アッサリ。というかサックリ。余韻のあまりの無さにビックリ。
・ギンコとの昔のエピソードとかもっと活用しても良かったのではと思う。
・母は強しとは言え土佐薫強すぎぃぃぃぃ!!


友人には、この作品はあまり合わなかったらしく
貸してくれる時に「微妙だった」なんて言っていて
なのであまり期待せずに読んだからかもしれませんが
私にはなかなか面白く、一気に読めてしまいましたよ。
本当にグロテスクな描写が苦手だ、という人にはお勧めはしませんが
ハラハラしたい貴方にお勧め。
北海道に旅行に行く前に、読むと良いかもね・・・ニヤリ。


最後にちょっと余談。
本書を読み終わった後に本屋さんで漫画版『シャトゥーン~ヒグマの森~』を発見。
おお、漫画化されてるのかーと中をパラパラしてみたのですが
絵の感じは、この作品の雰囲気に合っていて、なかなか良かったです。
惜しむらくは、土佐昭の外見が私が思ってたよりも華奢だった事。
って、それただ自分の好みの話じゃん!!うん、でもそれ大事だから。


[ 作品詳細 : 「シャトゥーン ヒグマの森」 ]
posted by 麻吉 at 2009/09/09 02:55 | Comment(3) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「湘南人肉医」 大石 圭

湘南人肉医 (角川ホラー文庫)

湘南人肉医
大石 圭 / 角川書店(2003/11)


評価:★★☆☆☆


人間の頭が茹であがるには1時間かかる


整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手を持つと言われるほどの名医。
名声も財産も手に入れた彼だが、しかし幼い頃から満たされない感覚があった。
それは、食べても食べても襲われる猛烈な“飢餓感”。
ある日その飢餓感を満たす方法を彼は発見する。
痩身で訪れた女性患者の臀部から取り出した脂肪。
それを口にした時、彼はこの上ないエクスタシーと共に飢餓感が満たされたのだ。
この満足感を知ってしまった彼は、もう後戻り出来なかった・・・。


死人を恋う』や『飼育する男』に比べたら、とても面白く読めました。
あの最後の展開などはかなり好き。
しかしこーやっぱり、微妙だなーと思う部分が多々あった。


内容はスリリングなはずなのに、緊張もドキドキもしなかったのがまず1つ。
過去読んだ2作品にも感じたことなのですが
3作品目にして、なんとなく理由が見えてきましたよ。
それは・・・

大石氏の世界は、警察があまりにも働かなさ過ぎだからだよー!!

そう、どんな事しても捕まる気配が無いんだよ。
結構無茶な事してるのに、警察の“け”の字の気配もない。
今作では一応刑事が登場するにはするのだけれど全然アレだし。
作品内のニュースで警察は監視カメラに映った車100台強の映像を
全部調べるみたいなこと言ってたけど
物凄く目立つ黄色のボルボがカメラに映ってたはずなのに
結局警察来なかったし・・・

目立つと言えば、主人公の外見が地味で特徴の無いならばまだしも
身長180cmオーバーな上に130kgを超える巨漢で
更に一部の世界では知らない人はいないと言われるような有名人で。
そんな人間が、こそこそするわけでもなく
下手したら店員の印象に残るような事をして女性を口説いて
(例えば「あちらのお客様からです」と標的の女性にお酒をプレゼントするとか)
さらに自宅マンションの受付嬢に女性と部屋に上がるところを平気で見られてて
そんなのが何回もあって、でも逮捕されないって・・・

そりゃ警察無能過ぎでしょう!!
いや、警察を馬鹿にし過ぎでしょう大石先生!!

飼育する男』のあとがきで
自分の中の実現不可能な願望を小説として形にしてる的な事を書いていたので
警察に捕まるなんて考えたくないのかもしれないですけど
でも、何しても捕まんない世界じゃ、背徳でもなんでもないし
それじゃ緊迫感がなくて、つまんないって私は思うのだけどな。うーむ。


あと他に今作で気になった事は
食人や殺人の目的が、後半に向けてうやむやになっているように感じた事。

人の肉を食べる事が目的で、人を殺したいわけじゃない、仕方が無く。だったはずが
お金目的のあの女子高生にした事などは
むしろ殺人の行為自体を楽しんでるふしがあったと思うの。
あの展開だけ凄く違和感があった。
全ての女性を同じように仕留めていたら単調になってしまうから
少々特殊な手法を入れたのかもしれないけれど
でも、この作品の、あの主人公の思想とは合わない気がしてならなかったのですよ。
この作品ではない、別の作品で使えば良かったのにーって。

そう。そうそう。
なんかね、何て言うのかな。
その女子高生の殺害方法の事もそうなのだけれど
ストーリーの展開とか、設定とかを考え抜いて書いたのではなくて
お、これもいいんじゃないか?あれもこれもって
書いてる途中途中で思いついた事をそのまま入れちゃったみたいな
勿体無いから、とりあえず全部入れちゃえみたいな、そんな感じが全体的にしました。
子供の頃の特殊な思い出話とか特に。
そんなにいっぱいエピソード必要ないでしょって。
色々ありすぎて、逆にまとまりがなくなってた。
上手く分けたら、2〜3作品作れたのじゃないかしらって思うほど。
勿体無い。


あと、最後に微妙に思った要素をもう1つ。
前に読んだ2作品も同様
主人公の男達は必ず神奈川の海沿いの高級マンションや豪邸に住んでいて
お金持ちで優雅な生活を送っているの。
神奈川生まれ神奈川育ちで、三浦海岸も平塚も身近なものとして知っている私は
それらの景色を現実に知らない人よりも、よりリアルに物語を感じられるはずなのに
その変な高級感に違和感を感じたというか
それのせいで共感がもてないと言うか、何かシラケるというか・・・。
って、それってただの貧乏人のひがみじゃないか!?
そ、そうかもゴメン!!


うむ。
とまーそんなわけで批判ばかり書いてしまいましたけれど
でも始めに書いたように、あのラストは好きだし
スズランあたりのエピソードはお気に入りだし。
あとなぜか、主人公と病院スタッフとの軽快なやりとりが好きでした。
ってそれ本筋とあんまり関係ない(笑)。

あと、各章のタイトルと、各章の始めにある
過去に人間が人間を食した様々な歴史についての記述が
「へー」と思えてしまう内容で良かったです。
って、やっぱりそれ本筋と関係ない。

ちなみに各章のタイトルはこんな感じ。

第1章 人間の頭が茹であがるには1時間かかる
第2章 女性の体の中では上腕二頭筋がいちばんうまい
第3章 生き血は冷やしたほうが飲みやすい
第4章 人の肉は少し古いほうが味がいい
第5章 胎児は骨まで柔らかい
最終章 クリトリスの味は個体差が大きい

ね?思わず「へー」って思っちゃうでしょ?え?思わない?


実録書は別として、小説でカニバリズムを主題としたものを
他に読んだ事がないので(確か)比べる事は難しいですが
サスペンス的なものとか、驚愕の展開とか
あと意外にもグロテスクさと言いますか、スプラッター要素?もあまりないので
そういうモノを期待して読むと肩透かしを喰らう可能性があります。が。
ただただ“食人”に興味がある。という人にはお勧めできる・・・かなぁ・・・。
とりあえず登場する料理は、どれもとても美味しそうでしたよ。はっはっはっは。


☆関連記事☆
・「死人を恋う」 大石圭
・「飼育する男」 大石 圭

[ 作品詳細 : 「湘南人肉医」 ]
posted by 麻吉 at 2009/09/05 14:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「花と奥たん (1)」 高橋 しん

花と奥たん 1 (ビッグコミックススペシャル)

花と奥たん (1)
高橋 しん / 小学館 (2009/4/30)


評価:★★★★★(満点!!)


たとえ今日で世界が終わっちゃうとしても


本当高橋先生はウマイなーと思う。
その“ウマイ”は絵が上手とかそういう意味の事ではなくて
なんと言うか、読者を引き込む何か。
そして読者の予想をまんまと裏切る何か。
本当にね読んでいていっつも「やられた!」って思うの。
そして「くそう!」って思う。なんだか悔しいのよね、
今回もしてやられました。まさか、こんな物語だなんて思いもしなかった。


東京の近郊、横浜のはずれの住宅街にある一軒家。
手の行き届いた家庭菜園には立派な野菜が沢山実っている。
それが“奥たん”のお城。
今日も野菜を収穫しながら、晩ごはんの献立に思いを巡らせる奥たん。
最愛の旦那様に喜んでもらうためですもの、はりきりますよ!!

花と奥たん(1)

さて今日はどんな献立にしようかな。


高橋先生特有の柔らかい線で描かれた奥たんと飼いウサギのPたんは
キラキラで、ふわふわで、ニッコニコ。
平凡かもしれないけれど、幸せいっぱいだ(なんてったって新婚だしね!)。

しかし、読み進めるうちに、私達は小さな違和感に気付くのです。
スーパーに買出しに出掛けた奥たんの後ろ。
何気なく描かれた街の景色に。井戸端会議をしている主婦達の会話に。
「あれ?」と思う。
ハッキリと分からないけれど、でも明らかにオカシイと思う。
何?何だ?何だ?何だ?と読み進め、そして気付かされる。
“そこ”は現実とはほんの少し違う事が起きている世界だと言う事。
“花”と呼ばれる災厄によって、東京が突然壊滅した世界だと言う事。
奥たんは“帰りの遅い”旦那様の事を、今でもずっと待っていると言う事・・・。


感じとしては『最終兵器彼女』に近いでしょうか。
リアルな現代の日本が舞台のようでいて、非現実的な何かが起きている世界。
普通の学園モノだとか恋愛モノだとか、ほのぼのな内容だと思って読んでいると
ギョッとさせられる設定。
そのギョッとさが、また魅力なのですよ。

さらに言うと、登場する景色は、高橋先生が実際に歩き回って
写真に収めてきたものを利用しているとのことで、どこまでもリアル。
そういう、本当の景色の中に溶けこむように非現実さがあるから
異常さがより一層際立って感じられるのでしょうな。

花と奥たん(1)

自分の住んでる地域が登場したら良いな〜。
はっ!!うちはまんまと“花”の下か。む、無念・・・。


そうそう。
それらの写真は物語の最後に「冒険レポ」としてオマケ紹介されているのですが
景色だけでなく、各話に登場するお料理も実際に作ってみているそうで
冒険レポと共にレシピも掲載されているのです。
で、それがオマケにしておくには勿体無いほど面白くて!!

というのも、ウサギのPちゃんが解説者なものだから
材料の名前を知らなかったり(「しょっぱい白い粉」とか「バルサミなんだか」とか)
ウサギだけに魚料理には興味がないからって解説が投げ槍だったり。
でも投げ槍でもちゃんとレシピとして使える程度の投げ槍さなのがまたおかしくて。
これは必見。オススメ。


あ、そうだ、料理つながりで
各話の頭には毎回奥たんがこしらえる晩ゴハンがカラーで描かれるのですが
それがまたすっっっごく美味しそうなんですよ!!

花と奥たん(1)

どうですか、この料理漫画ばりの料理描写!!
ああもう、見ているだけでお腹がな鳴っちゃうよ!!

・・・ん?ちょっと待てよ?
よく考えたらこの作品って、料理漫画ばりじゃなくて、正真正銘の料理漫画か?
そうだよな、料理がメインのお話だもんな。


そう、本作品は“花”という、世紀末的な要素と謎を抱えているわけなのですけど
でも“花”がメインではなくて、あくまで“そういう災厄のあった世界”で生活をする
奥たんの日常風景。買出しに出掛けた時のちょっとした冒険や
料理をする姿がメインの物語なのです。
その“花”があくまでオマケなのがまたいい。

あ、でもだからと言って、謎を謎のままにしておくわけではないのですよ。
東京の現状やその災厄についての内容は
ほんの少しずつ語られて、ほんの少しずつ見えてきている。
そのちょっとずつさがまた絶妙で。
って、なんか大絶賛だな私!!


ああもうっ!!
正直な事を言うと、私はこれまでの高橋先生の作品を
手放しで感動できていないというか
自分でも良く分からないのですけど
なぜか斜に構えた見方しか出来ないでいたのです。
でもこの作品は、本当そんな私にもグッときて。

なので、そんなアンチ気味な私でも面白いと思えたくらいですから
皆さまにも是非読んでみて欲しいと思うのです。

自分の周りだけかもしれないですが
あまり話題になっていないように感じるこの作品。
もっと話題になってもいいと思うの。
皆気付け!!これ面白いよー!!

本当、お勧めですっ!!


最後に。
雑誌連載の間隔が月間どころか季刊?くらいなペースらしく
すぐに続きが読めません・・・イケズ!!
そんなわけで、続々とコミックが出ない事と
あとカラーページが多いためか、通常のコミックよりも少々値が張る事がネックかな。

花と奥たん(1)

(こんな感じで巻頭だけでなくて各所にカラーが用いられてるのです)
でもこのカラー群も魅力のひとつなので減っちゃイヤ!!

先生、続き本当に楽しみにしていますので、頑張ってくださいねー!!


[ 作品詳細 : 「花と奥たん (1)」 ]
posted by 麻吉 at 2009/08/15 20:20 | Comment(1) | TrackBack(0) | COMIC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[MOVIE] クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ [Blu-ray]

クライマーズ・ハイ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(2009/1/1)


評価:★★☆☆☆


8月8日に放送された地上波放送版を視聴。


わざわざ説明不要かもしれないですが
1985年8月に実際に起きた、520名もの死者を出した史上最悪の航空機事故
『日航機墜落事故』に翻弄された新聞記者たちと
地方新聞会社の内情・確執を描いた物語です。


私は昔の話ですけど、日航機墜落事故の記事やら写真やら手記やらを
むしゃぶるように読み漁っていた時期があって
それはただの興味本位からの行動だったのだけれど
でも本当に沢山の記録を目にしたから
この事故は特別な思い入れのあるものになっていて。

なので、この作品で事故の事がどんな風に描かれるのか
とても興味があったのだけれど
思っていたよりアッサリした扱いで拍子抜けでした。


いや、でもまー別に事故を主題にした物語なわけでなくて
あくまでその事故に振り回された新聞記者たちの物語なわけだから
しょーがないか。と思って見続けたのだけれど
でも、結局なんだか事故の事だけじゃなくて
新聞記者や新聞に関わる人間の苦労も
友達の事も、家族の事も、山登りの事も、全て全て。
全ての事が中途半端だった気がしました。

登場人物が魅力的で、演技も皆素晴らしかっただけに残念。
と言うか、色んなテーマを盛り込みすぎなんじゃないか?

いや本当、その中途半端さがあまりにもだったので
TVで放送するにあたって、大切な部分を削りまくっているんじゃないかと
勘ぐっているくらいなのですが、本当のところどうだったのかしら
両方見た方、どうでした?やっぱり端折られてましたか?
いや、これがまったく端折られてなかったら
それってかなりヒド・・・ゲフ、ゲフゲフン。


まーとりあえず、これはあくまで私の個人的な希望の話ですけれど
やっぱり、あの事故の詳細と言うか
本当に本当に事故現場は悲惨な、まるで地獄絵図のようであった事とか
それは佐山が感動的な文章で表現してましたけど
実際はそんな美しい事ばかりじゃなくて
むしろ神沢が書いたような、グチャグチャで、汚くて、臭くて。
もちろんそれをそのまま記事にするのが正しいかと言えば
悠木が言っていたみたいに、そんなのを読みたい人はいなくて
だから記事としては使えなかっただろうけど
でも、現場を見た人間にしか分からない
神沢が精神に異常をきたしたのも無理は無いほどに酷かったのだという事を
もうちょっと描いて欲しかったかな。


この作品の感想とは別の話になってしまいますけど
今軽く探してみたら、事故の事をとても詳しくまとめたサイトがあったので
メモとして記載させていただきます。

・日航機墜落事故関連資料集 : http://mania.daa.jp/blog/123/

こちらのサイトの『生存者の証言』と『遺書とメモ書き』は必読。
小説やドラマや映画では表現しきれない、本物の凄みがありますから。是非。


さて、最後に一言。
佐山役の堺さんが、可愛い臭を振りまきまくっていて
キュンキュンしっぱなしでしたぁぁーーーー!!以上っ!!
ってもー本当ゴメン!!真面目な感想台無しだわ!!


★映画『クライマーズハイ』公式HP : http://climbershigh.gyao.jp/

[ 作品詳細 : 「クライマーズ・ハイ」 ]
posted by 麻吉 at 2009/08/09 01:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | MOVIE / TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「飼育する男」 大石 圭

飼育する男 (角川ホラー文庫)

飼育する男
大石 圭 / 角川書店 (2006/07)


評価:★☆☆☆☆


な、なんだこの読後感・・・
凄いビックリするくらい何も感情が浮かんでこないぞ。
それは、あまりにも感動して放心・・・なんて良い意味でのものではなくて
残念ながら悪い意味でのもの。
だって正直、ラストを読み終わって思った事がこれだもの

「ふーん・・・で?」

大石作品ファンの方には大変申し訳ないと思うのだが
でもさー。だってさー。


本作の内容は、題名の通り。
とある男がコレクションと称して美しい複数の女性を拉致監禁して
自分の言いなりになるように調教を施す。という非常にアレな内容。
大きな声では言えませんけど、こうグッとくる題材ではないですか!!

しかし、内容はまさに上記の通りで
つまり自分が期待していた通りのものであったはずなのに
物凄い拍子抜け感が・・・。

あのね、正直言って犯罪の実録書読んだ方が
よっぽどスリリングでいてグッとくる展開がある気がしましたよ。
って、それはちょっと問題発言ですけど。
でもそれほどこの作品にはヤマもオチもなく
ドキドキも、驚きも、感動も、笑いも、そうね気が滅入る事すらなかった。

以前何かの感想で「犯罪者の心理が知りたくてホラー小説読んでる」
みたいな事書きましたけど、この作品読んで気付きました。
淡々と、犯罪者の行動を追うだけじゃ、まったく面白くないって。
小説・・・なんだからさ・・・
何かしらのエンターテイメント要素はやっぱり必要だよ!!


あと本作で一番重要なのは“女性を調教する”という行為だと思うのですけど
その内容が凄く簡素で稚拙だった事も、肩透かしの原因の1つかと。

だって反抗的な態度取ったら無理やり押さえつけて陵辱するとか。
言う事聞かなかったらご飯与えないでおいて
空腹に耐えられなくなった女性が泣く泣く言う事聞くように仕向けるとか。
それでも駄目なら最終手段で焼印ジュー。
基本その3パターン。

そんな内容なので
女たちは隙あらば逃げようとしてるし、反撃しようとしてるしで
全然調教出来てないじゃん!!っていう・・・。
そもそも自分の飼い犬も訓練所にお願いして調教してもらってるし
アンタ調教の素質無いんだよ!!

完全なる飼育』見て出直してこーい!!


いやでも本当『完全なる飼育』みたいに
閉じ込めておかなくても、女の子自らの意思で自分を拉致した男から逃げず
反抗するどころか慕うまで至ってこそ調教であり飼育だよね。
『完全なる飼育』は実際にあった事件が題材なあたりが更に凄いところで。
まさに事実は小説より奇なり。


あと、読み終わってからふと思ったのだけれど
この無感動な淡々さは、物語の展開もそうですけど
この女性達を拉致監禁している、主人公であるところの男が
物凄く無感動な人間だからというのもあるかもしれないです。

読者というものは、やはり主人公の気持ちに同調するものだと思うし。
主人公が驚いたり感動したり涙したりしなかったら
読んでるこっちも淡々としちゃうよね。


あとあと、捕われている女性達や
もっとキーアイテムになってもおかしくない
娘や自分の母親も全然活用されていなかったりして!!
彼女らをもっとどうにかしたら、もっとなにか感動なり緊迫なりの
展開が出来たのじゃないかと思えてならないのですよ!!
ああ、勿体無い!!勿体無いことだよ!!


と、そんなわけで、私には合わない作品でした。残念。


そういえば同じく大石氏の作品『死人を恋う』も微妙な感想だったな。
相性良くないのかしら。
この方の作品のテーマは、どれも凄く好みなんだけどな・・・。
ハッ!!そう言えば『湘南人肉医 』買ってまだ読んでなかった!!
とりあえず結論出すのは、それを読んでからにしよう。うん。


☆関連記事☆
・「死人を恋う」 大石圭
・「湘南人肉医」 大石 圭

[ 作品詳細 : 「飼育する男」 ]
posted by 麻吉 at 2009/08/08 13:49 | Comment(2) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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