「シャトゥーン ヒグマの森」 増田 俊也

シャトゥーン ヒグマの森 (宝島SUGOI文庫) (宝島社文庫)

シャトゥーン ヒグマの森
増田 俊也 / 宝島社 (2007/2、文庫2009/6/5)


評価:★★★☆☆


「グロ好きだったよね」という理由で友達が貸してくれた作品。
そりゃ好きだけど、何かしらこの迫害感。


シャトゥーンとは冬眠に入るタイミングを逃してしまい
食料を探して雪山を徘徊しているヒグマの事。
飢えて、凶暴性が増し、家畜や人間を襲う、非情に危険な状態にあるヒグマだ。
神奈川県ほども広さのある北海道天塩研究林の中
猛禽類研究所・北ノ沢小屋に正月を共に過ごそうと集まった主人公達は
運悪くも、シャトゥーンに狙われる事となる。
電話も車もない。食料もない。外は吹雪。
小屋の外には人間の肉の味を覚えたヒグマが待ち構えている。
彼らはこの森から脱出する事が出来るだろうか・・・。


第5回「このミステリーがすごい!」で優秀賞を受賞しているとのことですが
ミステリー作品かと言われると「?」ですね。
どちらかと言えばサスペンス。
モンスターパニックや動物パニックものと言った方が正しいか。

とは言え、動物系恐怖作品は、小説も映画もあまり見た事がないもので
あんな感じという具体例が出てこないのですが
私の知識の範囲で言うならば
「13日の金曜日」のジェイソンがヒグマになった版か。
だからって危機感無くHとかしてるカップルが
真っ先に殺されるなんて事は無かったですけどね(笑)。


そんなわけで、ヒグマである。

漠然と「クマって怖い」という意識は誰にでもあると思うのですが
でも正直な話、この作品を渡されて「ヒグマに追われて怖い小説」と言われても
ピンとこないと言うか、あまり怖い感じがしなかった私。
死んだふりは流石に駄目でも、下手に刺激しなければ逃げられそうじゃないですか。
しかしそれは、ただ自分にヒグマの知識が無かったからだって事に
嫌ってほど気付かされましたよ・・・。
ヒグマ、マジ、ヤバイ。

本当、ビックリです。
とにかくスピードとかチカラとか身体能力がハンパない。
陸上の生き物として、そこまで能力持つ意味あるのか?ってくらい凄い。
更に頭脳戦も仕掛けてくるとかもー人間完敗。

しかし、ヒグマの本当の恐ろしさは
それら凄い能力の数々にではないのですよ・・・。
ヒグマの怖さ。それは性格!!
性格が凄い!!凄いっちゅーか“悪い”!!

自分が狩って、自分のモノだと認識した獲物は絶対に他人に渡さない。
回収された死体を取り戻しに、葬式会場に乱入してくるって
どんだけの独占欲じゃぁぁ!!

あと、すぐ息の根を止めてくれないとかもね。
一発バツーンでひと思いに殺してくれてだよ
ムシャムシャ食べられるならいいよ、いや良くないけど、まだいいよ。
なのに、1時間以上生きたままムシャムシャされるとかもー本当勘弁!!

なんて言いますかね、野生の動物と言うものは、紳士的っていうかさ
肉食なんだから動物を狩って食べるけど
でも必要以上に残酷な事はしないっていうか
なんか良くわからないけど、でもそういう、野生の気高さみたいなものが
あるイメージをもってたのですよ。
そんなもんは、私の甘ちゃんな考えだったって事か・・・。

ああ良く考えたら、ネコとかもネズミを弄んでから食べたりするもんね。
ああ・・・あー・・・(遠い目)。


そんなわけで、ヒグマがいかに恐ろしい動物であるかが分かる
とてもタメになる小説でありました。

うん、そう。
正直に言いますと、ハラハラドキドキはもちろんしたのだけれど
でも主人公達の逃げっぷりとか、戦いっぷりとか、展開とかよりも
ヒグマトリビアに「へー」と思い、間違った自然保護のあり方に「ふーむ」と思う
そんな事の方が多かったでした。
そうウンチク量が多かったんだよね。

でもそのウンチク。つまり知識が無かったら
ヒグマの怖さもここまで伝わらなかっただろうし。
だから無駄とも言えない。難しいところだな〜。


他色々思った事
・ギンコがあの小屋を襲ったのに、ちゃんと理由があったところは◎。
・友に言われたほどグロではなかった。
・最後が結構アッサリ。というかサックリ。余韻のあまりの無さにビックリ。
・ギンコとの昔のエピソードとかもっと活用しても良かったのではと思う。
・母は強しとは言え土佐薫強すぎぃぃぃぃ!!


友人には、この作品はあまり合わなかったらしく
貸してくれる時に「微妙だった」なんて言っていて
なのであまり期待せずに読んだからかもしれませんが
私にはなかなか面白く、一気に読めてしまいましたよ。
本当にグロテスクな描写が苦手だ、という人にはお勧めはしませんが
ハラハラしたい貴方にお勧め。
北海道に旅行に行く前に、読むと良いかもね・・・ニヤリ。


最後にちょっと余談。
本書を読み終わった後に本屋さんで漫画版『シャトゥーン~ヒグマの森~』を発見。
おお、漫画化されてるのかーと中をパラパラしてみたのですが
絵の感じは、この作品の雰囲気に合っていて、なかなか良かったです。
惜しむらくは、土佐昭の外見が私が思ってたよりも華奢だった事。
って、それただ自分の好みの話じゃん!!うん、でもそれ大事だから。


作品詳細

シャトゥーン ヒグマの森 (宝島SUGOI文庫) (宝島社文庫)
増田 俊也
宝島社
売り上げランキング: 130583
おすすめ度の平均: 3.0
5 面白かった
1 くどくも惨たらしい駄作
5 増田俊成の今後が楽しみ
5 絶対オモロイでっせ!
5 熊の執念深さが際立っている。

価格:¥590
文庫判 379ページ

2009年6月19日第1刷発行

【目次】
第一章 気配  007
第二章 遭遇  057
第三章 敗走  131
第四章 戦闘  213
第五章 終焉  283
解説 夢枕獏  375



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posted by 麻吉 at 2009/09/09 02:55 | Comment(3) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
熊って人間を食べるんですか!!
というか人を襲う事は知ってたけど、狙って食べたりもするんだ・・・
というか冬眠に入るタイミングを逃すって、あんたそんなんじゃ野生界で生きていけないぞ!!

グロが好きなんですか?
じゃあ、ダン・ブラウンの「天使と悪魔」が
オススメです(^^)
といってもグロに慣れてる人には
全然グロくないかもしれませんが・・・
Posted by aaa at 2009年09月11日 09:41
日本の獣害で一番の被害がでたのは北海道で起こった羆の事件らしいですよ。んでそれを元に書かれた小説が羆嵐って名前なんで興味あったら読んでみてもいいかもしれませんよ。
Posted by こんとんじょのいこ at 2010年01月02日 23:18
水道橋博士がTwitterで書いていましたが、主人公 薫 のモデルは、TBSの小島慶子アナとか。「叔父貴」ぶりを期待して、これから読もうと思っています。
Posted by 橘 英彦 at 2010年04月07日 12:21
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