「ロリータの温度」 白倉由美/伊島薫

ロリータの温度

ロリータの温度
白倉 由美 伊島 薫 / 角川書店 (2000/12)


評価:★★★☆☆


サイコの関連書籍と言う事で入手。
しかし、予想していた事ではありますが
関連性は西園伸二、℃、大江朔が登場するという程度で
本編の謎に深く関わるような記述はありません。
むしろ本編11巻に「℃」が登場した事で矛盾が生まれ
混乱する要因となってしまった気がします。

そんな事から「サイコ関連書籍」としてではなく
「この作品」に純粋に興味をもった方にのみお薦めしたい。
そんな作品です。


さて、とは言ったものの
これを書いている私自身が「サイコ関連本」という視点で
読み始めてしまったわけなので
初めは少々戸惑いました。
だって、目に飛び込んでくるのは甘くロマンティックな表現の数々。
大塚氏のサラリとして毒のある文章を思い浮かべていただけに
混乱する私の頭。
いや、もちろんこれは大塚氏の著書では無いと分かっていたのですが
脳みそが分かっていなかったと言うか・・・。

しかし読み進め、物語に入り込むにつれて
そんな事は気にならず、むしろ儚い不思議な少女達の物語には
こちらの方が相応しいと思えるようになったものです。


僕は六回死んだ少女を知っている。
彼女は様々な死に方をしたけれど、
死はすべて平等に、彼女をあつかってくれた。
死ぬとき、彼女はいつも小学校六年生で、12歳だった。


そんなおとぎ話のような言葉で始まる本作。
6人の少女の少々普通とは言い難い死に様が
淡々と語られる、オムニバス形式の短編集です。

甘くロマンティックなんて書きましたけど
表紙や挿絵となっている美しい写真とは裏腹に
サイコ愛読者が喜びそうな「ひきこもり」「自殺」「猟奇殺人」「監禁」・・・と
扱う題材は完全にダーク。
しかし表現が「サラリ」と、そして「淡々」としているゆえに
それらの要素がより一層少女達の儚さを増幅させていて
なぜか残虐性よりも切ない余韻が後に残るのです。
不思議。


ラストまで読んで感じた率直な感想は
へたに「デジタル世界」やサイコの登場人物を持ち出さない方が
少女達の不思議さや儚さの余韻を
最後まで残せたのではないかという気がします。
現に℃と西園伸二の登場する第六話だけが異質な空気で。
それは特に他の少女と第六話目の少女である「℃」が
あまりにも発するオーラが違っていたから。

そこまで読んで自分の中に築かれた淡い少女のシルエットが
悪い言い方をすれば、第六話の存在によって「ブチ壊し」になり
そしてその後に続く最終話に上手く繋がる事が出来なかった。

ああなんと勿体無い事だよ!!

でもそれもやはり、サイコの知識があったからなのかな・・・。
知識の無い、まっさらな状態でこの本を読んでいたならば
そんな違和感を感じずに
最後まで浸る事が出来たのかな。
勿体無かったのは、むしろ読む順番を間違えた自分か!!
そうか。そうかも。とほほほほー・・・。


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posted by 麻吉 at 2006/06/07 22:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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