「GOTH」 大岩ケンヂ/乙一

GOTH (角川コミックス・エース)

GOTH
大岩ケンヂ 乙一 / 角川書店 (2003/06)


評価:★★★★☆


『GOTH』とは猟奇事件や拷問器具と言った
人間の暗黒な部分に興味を持ちそれらを好む人達の事を言う。
主人公の「僕」とクラスメートの森野夜もそんな「GOTH」のひとり。

ちなみに私もGOTHのひとり(そんな告白はいりません)。


身近で起きた猟奇的な犯罪に
危険をかえりみず、自ら深く関わってゆく二人。
それは別にその事件を解決しようとかそんな探偵心や正義心ではなくて
ただ単にその事件と犯人に興味があるから。

動物から人間まで生きたまま手だけを切断し持ち去る犯人『リストカット事件』
死体を無残に解体しオブジェのように配置する犯人『暗黒系』
愛しい人を生き埋めにする事を切望する男『土』
森野夜の幼い頃に死んだ双子の妹の話『記憶』

本作は言わずもがな乙一氏の代表作『GOTH―リストカット事件』を
漫画化した作品であります。が。
実はまだ原作小説は未読でありまして。
ですからこの先書く感想は
純粋にこの漫画を読んだだけの感想である事を
まず前置きとして書いておこうと思います。
きっと原作を読んでしまったら感想が変わってしまうと思うので。


さて作画は『NHKにようこそ!』の漫画版でおなじみの大岩ケンヂ氏。
こうも雰囲気の違う作品でそれぞれちゃんと雰囲気を壊さずに
描けているのは本当に素晴らしいの一言!!

けっこうアッサリめの絵を描く方ですが
死体描写はなかなかの描き込みようで。
木に巻きつけられた内臓、手に持たされた眼球、開かれた腹部には・・・
確実にグロテスクな表現が苦手な方にはオススメ出来ませんし
電車の中など人目のあるところで読むのも注意です。

例えば同じ微細な死体描写でも
多重人格探偵サイコ』のように、なんだか異様に綺麗なものではなく
もっと陰惨で、汚らしくて、眼を背けたくなるような。
ああ、そう。何かを思い出すなーと思ったら
あれです。古屋兎丸著『Garden』に収録されている
知る人ぞ知る『エミちゃん』。あんな描画。
さすがにあれを超えるところまでは至っていませんが。
いや、もうあれは反則と言うか・・・。
この先、あれ以上の残虐描写のある作品は発売出来ないでしょうし・・・。


少々話が反れてしまいました。
殺戮にいたる病』のような作品を好む自分としましては
異常犯罪に傾倒する犯人の心情を垣間見たいと思っており
そのあたりの描写が薄味なところが少々残念でした。
そこは原作小説に期待してもいいのかな?

そうそう。原作を読んでいないので
原作からそうなのか漫画版でそうなったのか分からないのですが
1話目で陰のある美少女な雰囲気であった森野夜が
物語が進むに連れてだんだん垢抜けてきて
それはもう明るい女子高生のようになっていくのは
あれは仕様なのでしょうか・・・?
主人公から表情を伝授されたとて、これは・・・どうなの?
陰のある根暗ぐらいの彼女が良かったのに!!
初期の夜ちゃんカムバック!!


とりあえずは原作小説も読んでみようと思っています。
漫画化されていない作品にも興味ありますし
知人が小説の方が断然面白いと申しておりましたから。
ドラマや映画や漫画など、映像化された場合
ほぼ例外無く、原作の方が面白いですしね。ふふ楽しみ。

そういえば小説の文庫版、二冊に分かれて発売されてましたけど
そんなに分量がある小説でしたっけ?
一冊に纏めてくれれば良かったのにー!!もー!!


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posted by 麻吉 at 2006/06/28 21:06 | Comment(5) | TrackBack(0) | COMIC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Fの方にも書かせて頂いた鯖です。いろんなところにすいません。
二度もなんてどうなんだろう、顰蹙買ったら嫌だなあなどと思い、なかなか踏み切れませんでした。すみません、書いてしまいました。
しかし、今回あらためて見てみると私が持っているコミックが結構紹介されているんですよ。リスパラ、大奥、よつばと、GOTH、あとクマとインテリ。クマとインテリは表紙だけであ、リスパラの…と買ってしまったので驚きましたが…。好きです。話がうまいから。
GOTHは一年ほど前に買ったのですが、もともと友人が持っていて通学途中、駅のホームで読んでいたんです。それで、「何読んでるの?」と覗き込んだら、感想にも書かれてある連続殺人被害者の死体を森で発見した場面だったのです。その日の夕方買いました。
原作は読んでいませんが、暗いところで待ち合わせとか死にぞこないの青ならよみました。
コミックよりも文章の方が想像の幅が広い分こわいので、読めません。
はじめにも書きましたが、二度もすいませんでした。
こんなに読んでる本が同じな人初めてだったもので…
最高にハイってやつになっちゃったもので…。
なにとぞ大岡裁きで。
Posted by 鯖 at 2006年07月28日 17:56
| >鯖さま
| こんばんは!!いえいえコメントは何度頂いても嬉しいですよ〜!!
| 同じ話題を共有出来るって、とっても楽しいじゃないですか。
| それもこんなに共通の読書暦があるなんて、凄い!!
| お気になさらず、また通じる話題があった時には気軽にコメント下さいね。

| おおお、GOTHの例の場面を見て速攻買ってしまうだなんて。
| 鯖さま、なかなかのグロ好きでいらっしゃいますね。ふっふっふ同士!!
| 乙一氏の作品はまだ「夏と花火と私の死体」しか読んだ事が無いのですが
| 「ZOO」とか「GOTH」とか・・・あ、「死にぞこないの青」凄く気になってたんですよ!!
| 書評を読むと、賛否両論な感じでどうかな?と思っていたのです。
| これも確か漫画化されているんですよね。
| ああ、一層読みたくなってきてしまいました。乙一作品。
| さて何を読もうかな・・・。
Posted by 麻吉@管理人 at 2006年07月29日 00:47
初めまして、こんにちは。
いつも「おお」と思いながら感想読ませていただいています。先日はここのサイト様の影響で「殺戮にいたる病」「殺人鬼」を買ってしまったほどです。笑

GOTHは原作が好きなんですがこちらで漫画も出ていることを知ったのでそれも早速買ってみました。原作ファンの私にとっては少々物足りないような感じがしましたがイメージ通りの絵だったなーって思っています。

ほんのちょっとだけ原作をお勧めしてもよろしいでしょうか?
犯人の異常心理のようなものは「土」に書かれています。でも一番異常なのは「僕」の心理のように思います。漫画読んだあとなら小説でのオチにはあまり驚かないかもしれません…。
私も夜ちゃんの漫画での変化には驚きました。
でもよく考えたら夜ちゃんは根は普通の子なのかなーって。

それでは、乱文失礼しました。
更新楽しみにしています。
Posted by 一輪 at 2007年03月03日 19:21
| >一輪様
| はじめまして、こんにちは!!
| おお、当ブログをお読み頂き、尚且つその作品に興味をもって頂けたとは
| 恐悦至極です!!そしてコメントまで残して頂き有難う御座います!!(幸)

| 『GOTH』原作、やはり良いのですね・・・ううますます読みたい!!
| しかし、貧乏臭い話で恐縮なのですが、本はいつもだいたい古本で買ってまして
| 乙一作品、古本屋さんになかなか並ばないんですよ・・・。
| ああもうこの際新品で買ってしまおうか。それほど読みたくなってきました。

| 『土』は漫画版でも好きなお話ですので、これが文章になるとどうなるか
| とても楽しみです!!
Posted by 麻吉@管理人 at 2007年03月03日 22:14
GOTH,もう原作は読みましたか?
漫画の方は読んだ事が無いので分かりませんが、
絶対に原作のほうがおもしろいと思いますよ!!
ちなみに原作のほうは漫画のほうよりお話が少し多く入ってるんじゃないかな?

漫画のほうで夜が明るくなっていくのは、本当はそういう性格だからじゃないですか?
漫画のほうにもこの場面があったか分かりませんが、
原作のほうでは、最後「私はあなたとは違う」みたいな事を僕にたいして言ってますし・・・

とにかくGOTHは乙一さんの本の中でも私は一番すきです!!
ただ「土」を読んで思ったのですが、こ
んなに強い愛が今の時代に存在するのかな?って。
特にあの年齢で。

私はいつか漫画のほうを読んでみたいと思ってます(^^)
Posted by aaa at 2009年07月19日 23:35
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