「遺品整理屋は見た!」 吉田太一

遺品整理屋は見た!

遺品整理屋は見た!
吉田 太一 / 扶桑社 (2006/9/26)


評価:★★★★☆


それはすぐ隣に存在し、自分がそうなる可能性だってあるのだけど
でも普段身近に感じる事が無くて、他人事と思っている事。
『死』

年齢であったり、病気などで徐々に迫り来るのであれば
周りの人間も、本人も、心の準備や身の回りの処理も出来るでしょうが
人の死は突然訪れる事も多い。
私だってこの文章を打ち込んでいるこの瞬間に
突然脳溢血で倒れて死ぬかもしれない。

実家住まいならばすぐ発見されるでしょうが
ここは賃貸のアパート。一人暮らし。近所付き合いはまったく無い。
両親への連絡も1ヶ月や2ヶ月に1度のペース。
さて、私の死体はいつ発見されるのだろうか・・・?


一人暮らしをしはじめて
そういう事を考えた事が無いわけではないけれど
しかしこの本を読んで本気で考えて、そして思い知らされました。
わたし、今ここで死んだら、物凄い迷惑を両親にかける事になるんだわ。と。


本作は「遺品整理、遺品処理」を専門とした業者の社長さんが
日々経験するお仕事の中でも印象的だった事柄を綴ったBLOGを
さらに厳選して書籍化したものです。


「遺品整理、遺品処理」とだけ聞くと
正直なんでもないお仕事のように感じますが、それは大きな間違い!!
考えてもみて下さい。
普通にただ荷物が残っていて、それを遺族が引き取るだけなら
わざわざ業者さんに依頼する必要はないのです。

まるでゴミ屋敷のようになっていてまともに歩く事も出来ない部屋。
いたる所に血が飛び散った凄惨な部屋。
遺体の発見が遅れて異臭やシミや虫のわいた部屋・・・。
それらを綺麗にし、消臭を施し、人が住める状態に戻す。
それがこの方々のお仕事なのです。


本作を読んでいて、本当に強く感じた事は
賃貸の集合住宅で死んで、発見が遅れると
遺族の人間に本当に物凄く迷惑がかかるんだな・・・という事。
電車での人身事故は賠償金が大変な事になるとは良く聞きますけど
金銭面ではそこまでいかずとも、かかる迷惑は本当に甚大。

例えばアパート住まいで発見が遅れ、異臭が蔓延したとしましょう。

本来ならば同情され、優しくされるべき親族の方々。
しかし現場に訪れた彼らを待ち受けているのは「非難の言葉」。

遅いじゃないか!早くしてくれよ。みんな迷惑しているんだから!
吐き気がしてメシも食えない!
メシどころか、こっちは部屋でじっともしてられない!
病気になりそうだ!完全に臭わないようにしてくれよ!

それらは現場に到着した業者の人達が投げかけられた言葉だけれど
しかしそれよりも前に到着していた遺族の方々が
どんな言葉を浴びせられたかは想像に容易い。


突然知らされた身内の死に、動揺しているところへ
追い討ちをかけるように攻め立てられる事となる遺族の人々。
ひどい・・・と思うが、しかいいざ自分がその状態に置かれたら
私だって「迷惑だ」って思ってしまうかもしれない。

そしてこれは別のお話に出てくる管理人さんの方なのですが
そういった事件があった事で、立ち退く住人が続出。
ご近所からのクレームや噂も広がり、今後の入居者の見込みも・・・。
そう、管理人さんだって死活問題なのだ。
「迷惑だ」と思う管理人さんを誰も攻める事は出来ない。


突然死や事故死であれば、どうする事も出来ないけれど
自殺で亡くなられた方はきっと
自分が行った行為で、親族や大家さんがその後どんな目にあうかだなんて
考えもしなかったでしょうね。
私だってこの本を読むまでは
そんな大変な事になるとは知らなかったのだから・・・。



そうそう、あともう1つ。「怖っ!!」と思ったこと。
私も含めオタク属性の皆様は、よく友人と言い合ったりしませんか?
私が死んだら○○にあるダンボール、親に気付かれる前に処分して!!なんて。
親には見せられない内容の同人誌・・・自分が描いた恥ずかしい原稿・・・。
そんな物が詰まったブラックボックス。ええええ、私にも御座います。
あと、今物凄く部屋が散らかってましてね・・・その惨状を見られるのもね・・・。

しかし今自分が死んだら、確実に親に見られます。
それだけならまだしも、こういう業者さんにも見られるですよ!!イヤー!!

そんな「人に見られたくない趣味」を持っていた方のお部屋のお話も登場。
いや同人誌なんて可愛いもんだわ・・・な内容なのですが
でもそのお話は、一緒に部屋に訪れた遺族の方の言葉が本当に素敵で
本作に登場するお話の中で、一番好きなお話になりました。

いやでも、この亡くなられた当人が自分だったらと思うと・・・
やっぱり見られたくないよ・・・ね・・・(;Д;)トホホ



なんだか「小難しい」「気難しい」本であるような感想を書いてしまいましたが
不謹慎ながら「面白い」と思える、気軽に読める内容です。
遺体は登場しませんが、蛆虫などの描写がありますので
全ての方にお薦め!!とも言い難いのですが
しかし世の一人暮らしをしている皆様は、知っておいて損は無いと思う。
いや、読んでおいた方が良いと思う。うん、必読デスヨ!!


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posted by 麻吉 at 2006/10/19 22:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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