「僕は天使の羽根を踏まない」 大塚英志

僕は天使の羽根を踏まない (徳間デュアル文庫)

僕は天使の羽根を踏まない
大塚 英志 / 徳間書店 (2003/11/15.文庫2005/10)


評価:★★★☆☆


かつて「輪廻転生」に憧れ、夢見、しかし選ばれる事の無かった少年少女達へ。


本作は漫画『魍魎戦記MADARA』(以下「摩陀羅」)の完結編に位置する物語です。


はじめて『摩陀羅』に出会ったのは
私が大塚氏が度々取り上げるところの14歳の時であり
そして本作の夏目エリスが14歳で「前世」という存在に傾倒したように
ぼくの地球を守って』(前世ブームの火付け役)を読んだのも同じ14歳の頃でした。

当時の私は「転生」という神秘的なものに憧れるほど純粋な子供では無かったし
自分の周りも妙に現実的な可愛くない子達揃いであったので
本気で「前世」なんて信じてはいなかったけれど
でも現実にあった「前世ブーム」を実際にその年に体験していた者として
この小説は当時の事を恥ずかしくも懐かしく思い出す、そんな物語でした。


と、そんな感傷にひたりつつ。

えーと、ここで正直に告白しておこうかと思いますが
『摩陀羅』を読んだと上に書きましたが
当時友人に借りて『摩陀羅・壱』を一度読んだきりで
他に派生する続編や外伝にはまったく手を出しておらず。
正直基本の『壱』の内容もうろ覚え。な私だったりします。はっはっは。
純粋な摩陀羅ファンの皆様申し訳ありません!!

それではなぜ、本作を読もうなどと思ったのか。と申しますと
大塚氏の作品群の1つである『多重人格探偵サイコ』に登場する
「犬彦」と「伏姫麒麟」という人物を知る為。そんな理由です。

この二人が、摩陀羅の登場人物と関係があると知ったのは最近の事で。
関係があるのなら読んでみなくてはいけないな。と思いつつ
しかし摩陀羅は漫画だけでなくて、物語は小説やドラマCDなどに派生していて
全て網羅するのは正直大変であったし
それに、どれが続編で、どれが外伝かなんて事は
真の摩陀羅ファンでないと、判別するのは困難な状態で。到底無理!!

そんな折に耳にしたのがこの本の存在だったわけです。
本作は「摩陀羅の完結篇」であり、「犬彦」と「麒麟」が登場する物語である。と。
それってもしかすると『サイコ』の二人の若かりし頃の話なんじゃないの!?

で、結論。
若い頃どころか、一世代前(前世)のお話でした!!
さかのぼり過ぎだ!!


しかしこの小説を読んでとりあえず色々分かってスッキリしました。

ちょっと間違ってるかもですが、ようするに
摩陀羅や犬彦や麒麟は108回転生する事が運命付けられていて
その108回目の最後の闘いを描いたのが『摩陀羅・転生編』であり
その最後の最後。締め括りの物語が『僕は天使の羽根を踏まない』であると。
そして彼らは運命の転生を終え
109回目に新しく生まれ落ちた物語が『天使篇』であり
その『天使篇』での犬彦と麒麟がいわゆる『サイコ』の2人であると。

はーはーはーなるほどね!!
つまり私が本当に読まなければいけなかったのは『天使篇』であったわけね!!
って『天使編』絶版してるじゃないかよーー!!ぬぉぉぉぉ!!
古本屋で根性入れてで探す・・・か・・・。



さて、なんだか前置きが長くなってしまいましたが(前置きだったのか!?)
摩陀羅ファンで無く。しかし全然知らなくも無く。いらん知識は少々ある。
という非常に微妙な状態で本作を読んだので
なんというか純粋な感想は書けない気がしますが
とりあえず読んで素直に感じた事を書いておこうと思います。


本作は『摩陀羅』の知識が無くても十分面白く読む事は出来ましたが
しかしやはり少々説明不足な感は否めませんでした。
というか、説明がというより、何もかも全てがあっさりとし過ぎていた。
彼はこうなって、こっちの彼はこうなって。
ここで彼は彼を取り込んで、でこっちはこっちでこうなって。
こうなってこうなってこうなったんですよーはい終わり!!
みたいな。
感動のエピソードになりうる場面も放り出され、噛み締める暇さえ無かった。

転生に関わる重要人物は結構な人数がいて
完結篇と言うからには彼らを全て登場させて
尚且つ彼らがそれぞれがどうなったか、最期を描く必要があって。
それを一冊に詰め込まなければいけなかったのだから
仕方ないと言えば仕方ないのだけれど
でも、もっとジーンとしたかったし、もっとドキドキしたかった。

これはあの分厚い『バトル・ロワイアル』の小説を
たった2時間の映画に無理矢理詰め込んだせいで
せっかくのエピソードが希薄になり、薄っぺらい内容になってしまったのに似てる。
もったいないとしが言いようが無い。

あ、でもそれはもしかしたら、摩陀羅の知識がある人には
わざわざ語らなくても意味の通じる内容だったりしたのかな。
もしそうだったらちょっと悔しいよ。むむむ。

でもね。でもさ。
「ギー」「ココ」「ガク」の話が、もっとちゃんと読みたかったんだよ・・・。


あ、そう!!そうなのです!!
実は本作で「ギー」こと「在義一」がちょっと気になる存在になっていまして・・・。
大塚作品の事だからもしや・・・と思いちょっと調べたら
やっぱり本作だけでなく『東京ミカエル』にも登場しているらしいじゃないですか!!
もう大塚作品は『昭和偽史三部作』と『サイコ関連』で手一杯なのに
この上『封鎖都市三部作』にまで手出したら・・・。

でもすごく気になっているんです。
作中に「それが少年連続射殺魔事件の真実だった」みたいな文章がありまして。
って事はどこかでこの事件の事が語られてるって事じゃないですか。
それって『摩陀羅』?『東京ミカエル』?
もう全制覇するっきゃないじゃないか!!もー!!んもー!!


大塚氏の罠に掛かり過ぎだと自分で分かってる。
分かってるんですけどね・・・・。とほほほほほほ。


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posted by 麻吉 at 2006/11/20 23:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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