[MOVIE] 青い春

青い春

青い春
ケイエスエス (2002/12/20)


評価:★★★★☆


痛々しいほどに青く硬い果実たちの、ある春の出来事。


新宿ミラノ座で開催された「東京国際シネフェスティバル」にて視聴。
松本大洋さんの作品は、とてもとーっても大好きなのだけれど
原作の『青い春―松本大洋短編集』は未読であったし。
主役の松田龍平さんも特別「大好き!」という訳ではなかったし。
ガクラン制服は大好物でも、青春学園モノにそれほど興味も無かったし。

でも泣けてしまった。
九條が必死に、なりふり構わずに階段を駆け上る姿に、涙があふれた。


いわゆる「不良少年」たちの、それぞれの「ひと春」の物語。

本当それ以上でもそれ以下でもないお話です。
設定はいつ頃の事なのか。ボンタンや短ランでないから現代なのか。
しかしやっている事は昔とあまり変わらない。
便所の個室の上から水をかける悪戯や、力任せの暴力。隠れタバコ。シンナー。
そういう生徒の沢山いる、先生も諦め気味の、そんな学校。

春。鬱陶しい先輩達は卒業し、やっと自分達の天下がやってくる。
これから楽しい高校ライフが始まる!!これからが本番!!
しかし、彼らに突きつけられたのは「卒業したらどうするか」という現実。
皆それぞれ、なんだかんだ憧れの夢はあるのだけれど
でもそんな自分が夢見た「将来の姿」には、どうやらなれそうに無い。焦燥感。

学校は天国だと。このままでいたいと思う子。
苦しみから逃れた代償として、学校を出なくてはいけなくなった子。
道を見付け、自分から旅立った子。
彼らは動き出す。自分で決断した方向へ。それぞれの道へ。

まだ桜は散っていない。
ほんの1ヶ月にも満たない、春の日の物語。


誰とは言いませんがイヤ〜な奴もいるのですが
(それはそういう役だったのだから仕方ない)
周囲の端役の子たち(あの目の見えなくなった子分に優しくしてた子とか)まで
登場人物は皆とても好きです。

普通なところでいくと青木くん。好きだ。良い子。純粋過ぎる子。
雪男も好き。眼鏡が好き。ウルトラ警備隊。頑張って帰っておいで。
あとオバケと呼ばれた少年が、一人だけ凄く神秘的で象徴的で謎で。
ひとり暴力からは離れた場所にいた彼のその行動は
見ている時、良く分からなかったのだけど
あとになって真意に気付いて、切なくて、更に好きになってしまった。
ああしかし、それにしても私が好きになる子は、どうしてこう揃いも揃って・・・。

あ、でもでも、一番好きなのは花田先生!!
一生懸命花壇の手入れをする姿も、パトカーを追いかける姿も。
悪い生徒にだって分け隔てなくて
皆を大切に思っている気持ちが伝わってきた。素敵。

「枯れない花はないでしょ」そういう主人公に
「花は咲くものです。枯れるもんじゃない。
私はそう思うことにしています。それは大切なことです」
そう答える先生。
自分の思春期にこんな先生に出会えたら、どんなに幸せだろうか。


えげつない暴力シーンが数多く登場します。
そういった物が苦手な方にはお薦め出来ません。
また子供に見せたいか。というと、それもお薦め出来ません。
でもとても素敵な映画。
未来に不安を感じた。そんな時期を懐かしく思い出す
大人になってしまった皆様へ。
お薦めです!!



そう言えば、原作は本作とはまったく一緒の内容ではないそうですね。
この映画のように一本の話ではなくて
関係の無いエピソードが並べられた短編集のようなもので
それらのエピソードを上手く取り入れて一本のお話にしたのだとか。
オバケはこの映画のオリジナルの存在だそうで、ちょっと残念だけれども
でも俄然原作も読みたくなりました。
それで、それを読みながら、ああ、これがあのシーンか。とか思い返して。
そして改めてもう一度この映画を見てみたい。
いいな。DVD持ってても良いかも。


[ amazon詳細 : 『青い春』 / 原作『青い春―松本大洋短編集』 ]
posted by 麻吉 at 2006/12/14 22:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | MOVIE / TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
トラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/29639573

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。