「腐蝕の街」 我孫子武丸

腐蝕の街

腐蝕の街
我孫子 武丸 / 双葉社 (1995/11、文庫1999/2)


評価:★★★★★(満点!!)+★(萌え!!!!)


片思いネタ好き腐女子は読んどけ。とりあえず。


2024年。治安の悪化と共に荒廃した東京。
近年まれに見る残忍な連続殺人事件の犯人「ドク」の死刑が執行された。
しかしその三ヵ月後、再び事件をなぞるかのような殺人事件が発生する。
バラバラ死体の傍らには、彼を逮捕した刑事へ向けたメッセージが残されていた。
「ミゾグチへ オレは戻ってきた そのうちお前のオペもやってやる ドク」


ジャンル的には「クライム・ノベル(犯罪小説)」という事なのですが
安孫子氏お得意の本格推理やサイコホラーモノと言うよりも
近未来ハードボイルドアクション小説ではないかと。
なんて小説のジャンルに詳しくないので適当な事言ってますが。申し訳ない。

いやでも本当、『殺戮にいたる病』が「静けさ」と「陰湿さ」の作品であったら
本作は息つく暇も無いほどの「疾走」と「轟音」と「閃光」。まるで正反対で。
こんな激しいほどに「動的」な作品も書かれるのだと、驚かされました。
また2024年という近未来設定ゆえに
一種SF的な要素(未来の機器や生活習慣等)が登場するのですが
それがまた実にしっかりとしていて、違和感無く、すんなりと飲み込む事が出来て。
先生、SFもイケルクチですか・・・と本気で感服致しました。凄過ぎる!!


本作の素晴らしさは
そんな物語のスピード感や完成された世界観だけに留まらず。
いやむしろ、一番のお勧めポイントと言っても過言では無いのは
なんと言っても登場キャラクターの魅力の素晴らしさ!!

細かな脇役陣さえも魅力に溢れ(永野警視などはとても好きです。良い人だよう)
それぞれ非常にキャラが立っていて。
そしてそんな中、ズバ抜けて魅力的なのが主人公「溝口」と「シンバ」!!
彼らから目が離せなくなっている自分に気が付くのですよー!!

連続殺人犯を逮捕し、標的にされている警部補の溝口(40歳)。
スラムと化した区画(未来の上野近辺)に身を置き
正義感に溢れているわけでもなく、しかし見て見ぬふりも出来ない性格。
旧世代(20世紀生まれ世代)の人間で
つまり読者である私達と同じ時代を生きた経験を持つ人間であり
また新しい文化に疎いので、他の新世代の登場人物よりも親近感を感じられる。
変なところで頑固。オッサン。素敵(´∀`)モエ

ひょんな事から溝口の家に転がり込んできた少年。シンバ(15歳)。
少女と見まごうほどの極上の容姿とは裏腹に
大の大人を死に至らしめる事が可能なほどのナイフ捌きを身につけている。
それゆえ誰に媚びる事無く、単独でネコ(男娼)をし生計を立てていたのだが
性質の悪い連中に目をつけられ身を隠す事に。
高飛車。自信過剰。しかし子供らしい一面も。可愛ゆす(´∀`)モエ

本当にね。もうこの二人が・・・めちゃくちゃイイんですよー!!!!


えーと、えーと。あーすみません。
腐女子的発言になってしまうので、お嫌いな方は軽くスルーして頂きたいのですが。
完全にというか頑なに「ヘテロ(異性愛者)」を主張する溝口に対して
シンバが・・・切ないんですよぉぉぉー!!!!

これは腐女子フィルターによる私の脳内妄想ではなくて
本当に本文そのままに切ないんです!!
溝口の家に転がり込んだ時
「ここに客を連れ込むんじゃないぞ」と言われて傷ついたような表情をしたり
溝口との約束を破ってしまったと、ぽろぽろと涙をこぼしたり。
もう胸が締め付けられっ放しなわけですよ!!ううシンバー!!
こんな切ないBL小説は久し振りです・・・って
BL小説じゃないですから!!勘違いを招くような発言するな私!!

いやでも本当、BL好き腐女子さんは騙されたと思って読んでみて下さい。
むしろ読まないと損しますよ!!読め!!(命令)
そしてそんな要素関係無く、熱いハードボイルドモノとして。
はたまた死んだはずの人間から挑戦状が届くと言う謎モノとして。
男性も十分に楽しめる作品であります!!
長編小説なのに、きっと一気に読んでしまいますよ。それほど面白い。
是非是非!!胸を張ってお薦め致します!!


あ、そうそう。
本作は一応シリーズモノでして、続編が出版されています。その名も『屍蝋の街』。
それぞれ単体でも読めるようにはなっているのですが
しかし、両方読むつもりでしたら、絶対に順番を間違えないように気を付けましょう。
なぜかと言うと『屍蝋』のプロローグが、完全に『腐蝕』のネタバレだからです!!
これ読んでしまったら『腐蝕』の面白さ半減!!
本当ご注意下さいね!!


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「殺戮にいたる病」 我孫子武丸 ※再読
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posted by 麻吉 at 2007/05/09 23:02 | Comment(5) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです、こんばんは!
おっさんと美少年という響きにとてつもなく惹かれて探したのですが(amazonや本屋を)
み、見つかりません…!
管理人さんはどちらで手に入れられましたか?
質問恐れ入ります…。

腐女子としては読んでおきたいですね。笑
捜索続行します。
Posted by 一輪 at 2007年05月19日 22:55
U >一輪様
U お久し振りですー!!お元気でしたか?
U 『腐蝕の街』もう本当にお薦めです。是非読んで萌えて頂きたい!!
U ちなみに私はブックオフの100円コーナーでハードカバー版を購入しました(ラッキー)。
U 少々古い作品ですから普通の本屋さんよりも古本屋さんの方置いてあるかもです。
U
U もう今手元にあるこの本を続編と共にお貸しして読んで頂きたい位ですが
U そうもいきませんので、次の本屋さんで発見出来るよう祈っております(´∀`)
Posted by 麻吉@管理人 at 2007年05月20日 00:43
素早い返信ありがとうございます!!
私は過度に元気でうざがられています。

神業的な速さに驚きました。笑
麻吉さまのお勧めされる本は全部本当に良くて
いつもチェックしてますvv

幸いにもブックオフは高校の近くにあります^^
今度さっそくチェックしてみますね。

普通の本屋さんではもうこれ以上刷っていないと聞きました。。。入手難度が高くて興奮してます。(変態)

ありがとうございました。
Posted by 一輪 at 2007年05月20日 18:28
U 仲間を増やそうという熱い想いから敏感に反応してしまいました(笑)
U やっぱりもう増刷していないのですね・・・。
U 続編と共にアッサリ買えた自分は本当ラッキーだったんだなー・・・。
Posted by 麻吉@管理人 at 2007年05月22日 03:28
こんにちは、『腐食の街』『屍蝋の街』の続編はどうなってるのかな〜と検索したところ、こちらを発見しました。もう、大好き!って思っている方がここにも…!嬉しい限りです!!オッサンと少年片思いモエ!!
溝口さんはヘテロだヘテロだと一生懸命否定してますが、そういう事を言い募ることがすでにシンバのかわいさにやられてこちら側に片足突っ込んでるのではないか…と…思ったりします。とにかくもどかしい感じがたまらないです。
そんなモエがたくさんありつつ、お話がとてもスリリングで、ドクの気持ち悪さが迫ってきてとてもおもしろいと思うんですけど…絶版になっていたのかと、残念でなりません。ほんとうに、再版されるといいですね。
やっぱりあれかな、一般書でホモっぽいのが我孫子先生の別作品好きな方には微妙なのかな?あー、こんなにおもしろいのに!
禁忌の町も、早く単行本にならないかな〜と、楽しみに待つばかりです。
Posted by him at 2008年11月19日 12:38
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