「水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪」 佐藤友哉

水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社ノベルス)

水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪
佐藤 友哉 / 講談社 (2002/03、文庫2008/4)


評価:★★★☆☆


それは全てアナタのため、アナタを想って行った事。


その物語は異なる3つの世界によって構成されている。
ひとつは、今時の何事にも無気力で自意識ばかり過剰な18歳フリーター青年の物語。
ひとつは、不幸な少女を護り切れない己の非力さに苦悩する小学四年の少年の物語。
ひとつは、精神を病んだ長女に幽閉され、順に殺されるのを待つばかりの家族の物語。

それらは共通点どころか同じ世界だとは到底思えない物語達だ。
しかし言っておこう。ラスト、世界は完全に一つになる。
「鏡創士」の手によってさらけ出された真実の世界の姿は
きっと貴方が思った以上にクッキリと明確で、そして残酷であるだろう・・・。


大変失礼な話で恐縮なのですが
佐藤友哉氏の作品はもっと若い年代向けのものだという認識がありまして。
いや実際読んでみて、世代の違いから来る考え方の相違があって
やっぱり若い子向けだねーと改めて思ったわけなんですけども
でもそれは文章が稚拙とか、単純とか、面白く無いとか、そういう事では無くて。
グイグイと引き込むその話の持って行き方も、衝撃の結末も
面白かった。凄い面白かった。

でも。でもね。どうしても許容出来ない部分があって。

それは、簡単に人が死にすぎとか、無駄に四肢損壊しすぎとか
多大な損壊を受けている人間が、あまりにも痛みを感じていなさすぎとか
人に暴力を振るう事を、人が死ぬという事をあまりにもあっさりと書きすぎとか
簡単に人間の脳味噌いじくれちゃったりとかってどーなのとか
密室は別に必要無かったんじゃないかしらとか。とかとか。

それと登場する人間全てがあまりにも甘ったれちゃんで
全員を一列に並べて端からビンタ喰らわして説教たれたい気分になりました。

だってさ、それぞれがそれぞれそんな事になってしまったのは
全て「自業自得」の結果であって
それなのにグジグジと、尚且つ人のせいにしたりしてさ。あー鬱陶しい!!
もっとシャンとしろ!!逃げてんじゃねぇよ!!

もーね、年寄り特有の駄目な言葉だと分かっていながらも
心の底からこう思ってしまったの。
「これだから今時の若者はよー!!」って。
ああ・・・私はいつの間に、こんなガチガチに頭が固くて口煩い
嫌な大人になってしまったのかしらね。とほほ。


と、まぁ煩い事書きましたが
しかし冒頭に書いた通り、凄く面白かったの。それは真実。
このドキドキしながら先へ先へと読み進める感じ。
そしてラストのどんでん返しの大逆転!!本当に驚かされた。
ですから、そういった展開の作品がお好きな方には
是非お手に取ってみて欲しいと思います。お薦めです!!


あ、そうそう。少し気になったのですけども
作中で少し触れられた創士の家族や居候している伯父の事は
既発である『フリッカー式 』や『エナメルを塗った魂の比重』で
詳しく語られていたりするの?
何か色々ありそうだったのに、軽く触れられただけで終わってしまったから。
それともいわゆる「鏡家サーガ」を全て読まないと補完出来ないものなのか。
ああ気になるわ。気になるけど。どうしたものかなーむむむ。


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posted by 麻吉 at 2007/07/10 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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