「オトナ語の謎。」 糸井重里事務所

オトナ語の謎。 (新潮文庫)

オトナ語の謎。
糸井 重里 / 東京糸井重里事務所 (2003/12、文庫2005/03)


評価:★★★★☆


引き続き、ウェブ書籍化本第二段。

ほぼ日刊イトイ新聞−オトナ語の謎。− :http://www.1101.com/otona/

こちらはもう有名ですので
わざわざ説明する必要も無いかもしれませんが
糸井重里氏が運営しておりますWebサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』内で
“社会人になると独特の言葉を使うよねー”
“では皆さんはどんな言葉を使ってますか?”という
読者投稿型の大人気企画を書籍化したものであります。


いやこれがまた、かなりの勢いで面白い!!
自分はもうすでにかなり年季の入った社会人の端くれですので
当たり前のように使ってしまっている
「お世話になっております」や「宜しくお願いします」も
そう言われてみれば変。笑っちゃいますよね。

こっちがお世話している相手でも「お世話になっております」。
お願いされた立場でも「宜しくお願いします」。

「午後イチ」とか「席外し」とか普通に使っているけど
そうだよな、学生の時には使ってなかった。
いったいいつ覚えて身に付けてしまったのだろう。恐ろしい。


他にも独特な言葉。
「きんきん」「タスク」「マスト」「青天井」などなどなど。
私が所属しているのは営業とか他社とのやり取りが多い部署でないので
基本的な言葉以外はあまり使っていなくて
周りの人間もあまり使ってないなーと思っていたのですが
いざこの企画で知識を得た後に、周囲の言葉に耳を傾けてみると
「それでもうフィックスなんでしょ?」
なんて!!使ってる!!使ってるよ!!プー!!


会社に入りたての新人さんが
本当に周りの人間が何言ってるのか分からなくて
これで勉強するもヨシ!!
普段「オトナ語」を使いまくっているベテラン社会人さんが
そうそう、これ使ってるよ〜良く考えたら変だよね〜
と共感しながら読む方もヨシ!!
世の全ての社会人さん必見、必読の書籍であります!!

その代わり、学生さんが読んでも
たぶんきっと何も面白くないでしょう。
学生さんが読むにはまだ早い。オトナの本。ということで。
読むのは社会人になってからね!!ふっふふふ。



そういえば、非常に余談ですが。
この本に限らず、こういったWeb上で発表したものが書籍化されると
Web上で横書きで書かれていた文章が
書籍では縦書きになるじゃないですか。
普段縦書きで本を読む事に慣れているはずなのに
物凄く読み辛く感じる事ってありませんか?

私どうも駄目なんですよね・・・。
でもそれって、Web慣れによって
日本の文化である「縦書き」離れが起きている証拠じゃないですか!!
いかん!!それはいかんことでありますよー!!


★ほぼ日刊イトイ新聞 : http://www.1101.com/

[ amazon詳細 : 『オトナ語の謎。』 / 文庫『オトナ語の謎。』 ]
posted by 麻吉 at 2006/07/01 23:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「日本文学ふいんき語り」 麻野一哉/飯田和敏/米光一成

日本文学ふいんき語り

日本文学ふいんき語り
麻野一哉 飯田和敏 米光一成 / 双葉社 (2005/11/30)


評価:★★★★☆


失礼な話ですが
書店でこの本が平積みになっていたとして
この表紙と題名を目にしても
手に取るどころか、まったく興味を示さなかったと思うのです。
勿体無い!!なんと勿体無い事だ!!

この地味で真面目な表紙に騙されてはいけない。
『日本文学』という文字に怖気づいてはいけない。
だってこの本はお馬鹿企画の総集編本なんですもの!!


「こころ/夏目漱石」
「羅生門/芥川龍之介」
「銀河鉄道の夜/宮沢賢治」
「痴人の愛/谷崎潤一郎」
「人間椅子/江戸川乱歩」
「山椒魚/井伏鱒二」
「人間失格/太宰治」
「金閣寺/三島由紀夫」

読んだ事は無くても
題名を目にした事はあるのではないでしょうか。
日本文学の巨匠達の代表作品の数々。
これらを有名ゲームの制作に携わったゲームクリエイター3人が
やいのやいのと好き放題、やりたい放題言い合いながら
ゲーム化企画をしてしまおうではないか!!
という内容なのであります。


小説のゲーム化、と言っても
文章を読み進めるだけのサウンドノベルなどには致しません。
そこはさすがゲーム業界に身を置いておられる方々。
これらの真面目な文学が
あるものは携帯育成ゲームへ、あるものは鬼畜シミュレーションゲームへ
そしてあるものはゲームの枠を超えてアミューズメントパークへ・・・。
それも、どれもこれも凄く面白そうなんですよ!!

あ、しかしご注意頂きたいのは
基本的に“面白企画”であると言う事。

ですから本当に本当に本当に、この作者に心酔し
この作品たちを心から愛している方には向きません。
これらの作品はもちろん好きだけれど
この、ここの文章ちょっと面白いよね。そこがまた良いのだけど。ふふ
くらいの心の広さが必要です。

また、極めてオタク寄りな三人による対談ですので
内輪ウケな内容も多々あります。
マニアックな発言には各所「注釈」がされ
それがまた面白かったりするのですが
しかしオタク的発言や、2ちゃんねる用語などが頻繁に使われておりますので
それらが苦手な方にもオススメは出来ません。

ちょっとヨコシマに文学が好き。
そして最低限のゲームの知識のある方には
共感&笑いどころ満載!!お薦めであります。


なんて、色々書いてきましたが
少々反則とは思いつつ、百聞は一見にしかず。
こちらで書籍化前の文章の一部が読めます。

◇ベストセラー本ゲーム化会議 : http://media.excite.co.jp/book/game/b_n/


どうですか?私的にはもう
「三島」「太宰」「乱歩」あたりのゲームがかなりツボ。
特に『三島っち』は本当欲しい!!
頑張るよ!!頑張ってお世話するよ!!
金閣寺にも行くし、最後にはちゃんと介錯もするよ・・・って、うう・・・。

いやしかしこのゲームを「やってみたい」なんて言うのは
正直「不謹慎」だと自分でも思うのです。けどね・・・。
・゜・(ノД`)・゜・ダッテオモシロソウナンダモン

あ、ゲーム化と言えば。
ブシドーMMO』!!(←漫画「シグルイ」をオンラインゲームにする計画)
これもう本当にツボなんですけど!!
たまらん!!たまらんです虎眼先生ーーーー!!!!
ゴホン。すみません話が反れました。
『シグルイ』については後日改めて。


ちなみに本作には姉妹版と申しましょうか
本作より以前に出版された「現代ベストセラー小説版」ゲーム化対談
ベストセラー本ゲーム化会議』もあります。
でも私は、この固い文学を柔らかく扱った本作の方が好きかな・・・。
うん、でも合わせてお薦めです!!


[ amazon詳細 : 『日本文学ふいんき語り』 ]
posted by 麻吉 at 2006/06/29 22:33 | Comment(0) | TrackBack(1) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「木島日記 乞丐相」 大塚英志

木島日記 乞丐相 (文芸シリーズ)

木島日記 乞丐相
大塚 英志 / 角川書店 (2001/11、文庫2004/03)


評価:★★★★★(満点!!)


本作は基本的には漫画版『木島日記』を文章化したもので
所々違う点はあるにしても、大筋は漫画版と変わりはありません。

とは前作の『木島日記』感想の冒頭に書いた文句でありますが
続編でありますこの『木島日記 乞丐相』も
前作同様に漫画版と同じテーマを扱っております。しかし!!
その内容にはかなりの改良点が見られ
同じ・・・とは少々言い辛い内容となっています。


今回は漫画版2巻の
津山三十人殺しと勇者の条件と三大タブーの物語「砂けぶり」  
古来からの日本の秘術と戦艦大和の物語「乞丐相」
そして漫画版3巻収録
迷い子のしるべと御伽噺の主人公についての考察「身毒丸」
の3つの物語が収録。

で、まずどの辺りが漫画版と違うと申しますと
各話の題名からして違う。

本の題名に「乞丐相」と付いている事からもお分かり頂けるかと思いますが
本書の半分以上がこの「乞丐相」の物語となっています。
しかし戦艦大和の物語について書かれているかというと、そうではない。
戦艦大和の話には「翁の發生」という題名が付けられ。
迷い子のしるべの物語に付けられた題名が「乞丐相」なのです。


漫画版の感想に書きましたが
この迷い子の物語、正直あまり好きではありませんでした。
もともと不可思議な現象をあたかも有り得るように描く事が
この作品の魅力であるところに
この内容は少々有り得無すぎる。と思ったから。

しかし小説版でその当時の世相、人々の想いが詳しく書かれ
また漫画版と違った内容、結末により
好きな物語の1つに昇格してしまいました。
そうか、そういう事か。とスッキリしてなんだか幸せな読後感。

これは是非漫画版既読の方も読んで頂きたい。必見だと思います。


あ、あと!!もうひとつ非常にオススメな事が!!
それは巻末についていた『木島日記 キャラクターファイル』!!
人物の説明に森美夏さんの美麗イラスト付きで
その絵がまた、各キャラ漫画版と少々違った描かれ方をしているのですが
それがイイんだ!!違った魅力!!
というか清水くん一人で格好良過ぎるよ・・・ずるい!!

ずるいと言えば。土玉君も安江さんまで紹介されているというのに
一ツ橋の紹介が無いんですよ・・・どういう事ですか・・・。
それはあれかな?
本作にまーったく、ぜーんぜん、これぽーっちも登場しなかったからかな?
ってそうなんです・・・一ツ橋全然登場しないんです・・・(涙)。
その代わり、土玉くんと安江大佐が大活躍。
そのせいか物語がとっても明るく進行していて、それはそれで良くて。
なんだかんだ言ってこの二人も好きなのだ。私。ふふ。

そういえば紹介に根津くんの姿も無かったな。
本文にちゃんと登場してたのに。見たかったな。
あとは瀬条教授とかも。
その辺は次回作に載るのか・・・いや次回作など期待しては・・・。


最後にちょっと真面目なお話。
キャラクターファイルの解説文に
木島が仮面をつけている理由が、それはさも当たり前のように
皆も分かってるよね?とでも言いたげにサラリと書いてあって
私は本当に単純で、普通にその醜い姿を隠しているのだと思っていて
だからその内容に「ドキリ」としてしまいました。
そうか、そうだったんだー・・・。


[ amazon詳細 : 『木島日記 乞丐相』 / 文庫『木島日記 乞丐相』 ]



☆関連記事
「偽史シリーズ三部作」関連本まとめ
「多重人格探偵サイコ」関連本まとめ
posted by 麻吉 at 2006/06/23 23:58 | Comment(0) | TrackBack(1) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「木島日記」 大塚英志

木島日記

木島日記
大塚 英志 / 角川書店 (2000/07、文庫2003/03)


評価:★★★★★(満点!!)


本作は基本的には漫画版『木島日記』を文章化したもので
所々違う点はあるにしても、大筋は漫画版と変わりはありません。

ゆえに本作により漫画版では解明されなかった謎が明らかとなる。
というようなことは無いのですが
しかし、絵だけでは伝えきれない、表現しきれない部分が
文章となり克明に描かれ
より物語を深く理解出来た気がしました。

そんなことからも、漫画版既読な方も一見の価値はあると思います。


さて本作は漫画版1巻収録の  
死人返りと木島がこの奇妙な仮面を被る切っ掛けとなった物語「死者の書」
特殊な人間を使った人体コンピュータの物語「妣が国・常世へ」
草薙の剣とロンギヌスの槍、そして隠された天皇の物語「古代研究」
人魚と不老長寿・八百比丘尼の物語「水の女」
そして漫画版2巻収録
ジプシーの秘術とヒトラーの出生の秘密の物語「若水の話」
この5つの物語が収録されています。

漫画版の感想でも書きましたが
この作品には昭和初期に実在した有名な人物や事件、物が登場し
それらについて書かれている作品ではあるのですが
しかしそれらの知識は無くともまったく問題ありません。
むしろ本書によってこの時代に興味をもち
探求する切っ掛けとなってしまう可能性すらあります。
いわば、昭和史の入門書的な(完全に邪道ではありますが・・・)そんな一冊。
さあ、貴方も闇に葬られた裏の歴史を共に体感致しましょう・・・。


ちなみに本作。
漫画版の内容を踏まえた上でのサイドストーリー本ではありませんので
漫画版を未読の方でも十分に楽しんで頂けるかとは思うのです。が。
これを書いている自分自身が漫画版の知識を持った状態で読んでいるため
本当に知識が無く、まっさらな状態で読んで
はたして物語を完全に理解出来るか、ちょっと断言し切れない部分はあります。
大丈夫だとは思うのです・・・けどね・・・。

良く分からなかったら漫画版を読んでね・・・って事で。
って無責任!!
いやでも本当。上に挙げた単語に少しでも興味をもたれた方には
心よりお薦め致します。



ええと、ここからは完全に私個人の趣味の話となりますが
小説版は不思議少女・美蘭の可愛らしさがより一層際立っていて
美蘭好きにはもうたまらんかったです。
可愛いだけでなく、少々エロティックでもあるんですよー・・・。ふふ。
それに加え、漫画版であまり描かれなかった
一ツ橋くんと美蘭の仲睦まじい、まるでオママゴト夫婦のようなやりとりも盛り沢山。
この若夫婦、やっぱり可愛いよ〜!!萌え!!

逆に少々残念だったのは清水くんの登場シーンが少なくなっていた事。
それは清水くんが担当していた役を一ツ橋が変わりに行ってしまっていたからで
その分夫婦シーンが多くなったのでドッコイなのですが。
あ、でも代わりに『木島日記 乞丐相』の方では漫画版で登場しない話にも
清水くんが出ていて・・・。と
おっとっと。そちらの本についての感想は後日改めて。


そうそう、最後に余談ですが。
月の口調が漫画版と違いなんだか非常に丁寧で
ちょっと淋しくなりましたよ。
「マルティシアは月の上にありますの?」って・・・アナタダレ?
無邪気な月ちゃんが可愛くて良かったのだけどなー・・・。


[ amazon詳細 : 『木島日記』 / 文庫『木島日記』 ]



☆関連記事
「偽史シリーズ三部作」関連本まとめ
「多重人格探偵サイコ」関連本まとめ
posted by 麻吉 at 2006/06/19 21:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ロリータ℃の素敵な冒険」 大塚英志

ロリータ℃の素敵な冒険

ロリータ℃の素敵な冒険
大塚 英志 / 徳間書店 (2004/07、文庫2005/11)


評価:★★★★★(満点!!)


正直に言いましょう。完全に題名に騙されていましたよ!!


『多重人格探偵サイコ』の関連書籍だという知識はありつつも
しかし、昨日感想を書きました『ロリータの温度』同様
サイコ本編とはあまり係わり合いは無いだろうと勝手に予想し
ゆえに今まで手を出さずにいた本作。

私と同じ様に『小林洋介の最後の事件』等は読んでいても
こちらには手を出していない方、沢山いらっしゃるのではないでしょうか。
ああ、騙されてますね。騙されてますよ。
そんな人は今すぐ本屋さんに駆け込みなさい!!
本作は本編『多重人格探偵サイコ 4巻』前後に位置する物語であり
小説『西園伸二の憂鬱』にも繋がる完全なサイドストーリー本でありました。
ああ、もっと早くに読んでおくんだったー!!!!


主人公はタイトル通り「℃」。ですが
西園伸二でもあり、伏姫麒麟でもあります。
本編11巻で描かれていたような歌舞伎町に潜伏する西園伸二と
彼を取り巻く周りの人々とそして起こる猟奇事件の物語。

本編で姿すら描かれなかった森泉晶の事。
白さんの生い立ち。℃の出生などが明らかとなります。
あと伏姫麒麟の事も。

麒麟は『西園伸二の憂鬱』にも登場しますが
漫画版と小説版では外見性格共に少々違いがありますよね。
私は小説版の麒麟がお気に入りで
それゆえに本作で彼女の日常だとか気持ちだとか
詳しく描かれていて、とても楽しく読む事が出来ました。
そしてますます好きになってしまった。
あ、あと白さんも!!
実は凄い苦労人だったんだね・・・白さん・・・。うう。


物語としての良質さ(残酷さ)は言うまでも無く。
それに加え、麒麟ファン、白ファン、℃ファンは必読。
あと西園伸二好きの方も必ずお読みなさい(命令)。

ちなみに、前文でも触れましたが
サイコ本編、また『西園伸二の憂鬱』未読の方にはお薦め致しません。
他小説版同様、本筋を踏まえた人向けのサイドストーリー本です。
ご注意下さい。



あ、最後に余談。にしては少々長いですが。
本作を読んでより一層好きになってしまった「伏姫麒麟」と
初めての登場で、いきなり気になる存在になってしまった「三木・エリクソン・元幸」。
この二人って、サイコ登場人物繋がりであっても関連性はほぼ無いと判断し
未だ未購入である作品に登場する人物なのですよね・・・。

ちなみに麒麟は『MADARA転生編』または『僕は天使の羽根を踏まない』に。
三木は白倉由美著『おおきくなりません』や『きみを守るためにぼくは夢をみる』に。

さあ、どうする自分。買うのか?買っちゃうのか?

とりあえずは登場人物とか関連とか関係なく
普通に面白そうな『僕は天使の〜』を読んでみようかな。
だけどそれならばちゃんと『MADARA』本編の知識も持っていた方が・・・。
そもそも三木なんて本作でもほんのチョイ役だったのに。
お医者さんのくせにいつも熊の着ぐるみ着てるだの
「私ゲイです」とか平然と言っちゃうだの・・・。ううう・・・好き!!


大塚氏の仕掛けた単純な罠だと分かっていながらも
回避するどころかむしろダイビングな自分。とほほ。
でもそんなMな自分も。結構。好き。ほほほ。


[ amazon詳細 : 『ロリータ℃の素敵な冒険』 / 文庫『ロリータ℃の素敵な冒険』 ]



☆関連記事
「多重人格探偵サイコ」関連本まとめ
posted by 麻吉 at 2006/06/08 22:04 | Comment(1) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ロリータの温度」 白倉由美/伊島薫

ロリータの温度

ロリータの温度
白倉 由美 伊島 薫 / 角川書店 (2000/12)


評価:★★★☆☆


サイコの関連書籍と言う事で入手。
しかし、予想していた事ではありますが
関連性は西園伸二、℃、大江朔が登場するという程度で
本編の謎に深く関わるような記述はありません。
むしろ本編11巻に「℃」が登場した事で矛盾が生まれ
混乱する要因となってしまった気がします。

そんな事から「サイコ関連書籍」としてではなく
「この作品」に純粋に興味をもった方にのみお薦めしたい。
そんな作品です。


さて、とは言ったものの
これを書いている私自身が「サイコ関連本」という視点で
読み始めてしまったわけなので
初めは少々戸惑いました。
だって、目に飛び込んでくるのは甘くロマンティックな表現の数々。
大塚氏のサラリとして毒のある文章を思い浮かべていただけに
混乱する私の頭。
いや、もちろんこれは大塚氏の著書では無いと分かっていたのですが
脳みそが分かっていなかったと言うか・・・。

しかし読み進め、物語に入り込むにつれて
そんな事は気にならず、むしろ儚い不思議な少女達の物語には
こちらの方が相応しいと思えるようになったものです。


僕は六回死んだ少女を知っている。
彼女は様々な死に方をしたけれど、
死はすべて平等に、彼女をあつかってくれた。
死ぬとき、彼女はいつも小学校六年生で、12歳だった。


そんなおとぎ話のような言葉で始まる本作。
6人の少女の少々普通とは言い難い死に様が
淡々と語られる、オムニバス形式の短編集です。

甘くロマンティックなんて書きましたけど
表紙や挿絵となっている美しい写真とは裏腹に
サイコ愛読者が喜びそうな「ひきこもり」「自殺」「猟奇殺人」「監禁」・・・と
扱う題材は完全にダーク。
しかし表現が「サラリ」と、そして「淡々」としているゆえに
それらの要素がより一層少女達の儚さを増幅させていて
なぜか残虐性よりも切ない余韻が後に残るのです。
不思議。


ラストまで読んで感じた率直な感想は
へたに「デジタル世界」やサイコの登場人物を持ち出さない方が
少女達の不思議さや儚さの余韻を
最後まで残せたのではないかという気がします。
現に℃と西園伸二の登場する第六話だけが異質な空気で。
それは特に他の少女と第六話目の少女である「℃」が
あまりにも発するオーラが違っていたから。

そこまで読んで自分の中に築かれた淡い少女のシルエットが
悪い言い方をすれば、第六話の存在によって「ブチ壊し」になり
そしてその後に続く最終話に上手く繋がる事が出来なかった。

ああなんと勿体無い事だよ!!

でもそれもやはり、サイコの知識があったからなのかな・・・。
知識の無い、まっさらな状態でこの本を読んでいたならば
そんな違和感を感じずに
最後まで浸る事が出来たのかな。
勿体無かったのは、むしろ読む順番を間違えた自分か!!
そうか。そうかも。とほほほほー・・・。


[ amazon詳細 : 『ロリータの温度』 ]



☆関連記事
「多重人格探偵サイコ」関連本まとめ
posted by 麻吉 at 2006/06/07 22:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「夏と花火と私の死体」 乙一

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体
乙一 / 集英社 (1996/10、文庫2000/05)


評価:★★☆☆☆


今回の感想は少々ネタバレとなる事柄に触れますので
未読な方で今後読む予定の方は
これ以上読み進めない事をお薦め致します。

また今回は少々酷評です。
ホラー、サスペンス、グロ、サイコキラー好きの自分としては
気にならないわけが無い乙一氏の作品。
目や耳にする非常に高い評価の数々から
期待をし過ぎていたのかもしれないですね・・・。


さて本作はこの薄さにして表題の『夏と花火と私の死体』とは別に
『優子』という作品が収録されています。
その事からもお分かり頂けるように、とても短いお話です。
しかしそれは「短編小説」と呼ぶには微妙な長さで。まずそこが勿体無い点!!

ニ作品とも内容、テーマともに斬新で非常に魅力的であるのです。
もっと掘り下げて書き込んでいれば
もっと話は広がって、もっと濃い内容になっていたでしょう。
逆に、余計な部分を排除して、もっとテンポを良くしていたら
素晴らしい短編小説になっていたと思うのです。
どちらにもなりきれていないこの中途半端さ。ああ勿体無い事だ!!


さて内容の方ですが、本編『夏と花火と私の死体』。
物語を綴る人物「私」が「殺された死体の少女」であるという
その斬新さにまず感嘆しました。これは面白い着目点!!

しかし、完全に一人称で語られるこの物語の語り部は常に彼女であり
「私(五月)」から見える範囲、感じた物事しか記される事は無く
五月の知らない事は読者にも知らされる事はありません。
つまり、五月以外の実際に行動している人物達の心情が
ほとんど分からないままなのです。
自分が犯罪者の心理を紐解くような物語が好きだからかも知れませんが
そこが非常に物足りなかった。

特に意味深な書かれ方をされていながら
それについてまったく触れられないままであった「健」君。
必死にと言うよりも楽しそうに死体の処理を行う彼の
その残忍性は何なのか、どこからきたのか。
以前からこのような事に興味があったのか。
過去にも似たようなことをした事は無いのか。

また「緑」さんに関しても同様で
なぜあのような犯行をするようになったのか。
またその犯行の内容は。彼らの扱い方は。彼らへの想いは。
緑さんに関しては複雑な家庭環境についての記述がありましたが
「こういう家庭だったからあんな犯罪を犯すようになってしまったんだよ」
と言いたかったのであれば、それは少々安直でしょう。

本作は死体の存在がバレそうになる緊張感、ドキドキ感を読むお話。
なのでしょう。そうなんでしょうね。ああでもでも!!
折角こんな二人も有能なサイコキラー的人物が登場したのに!!
ああ、彼や彼女の過去や考え方や想いや真理を知りたかった・・・無念です。


この作品を読む前に漫画版『GOTH』を見ていたからか
自分の中で「これくらいのことはやってくれるだろう」という
変な期待と言いますか、より一層の残酷な結末を期待していたせいもあり
この終わり方には少々肩透かしでした。

行方不明の父親は実は緑が殺し、あの穴に捨てていた。とか。
あの穴から大量な人骨が発見されて
それは実は健君や緑さんだけでなく
昔からその地域での犯罪で死体処理に利用されていたものだった。とか。
行方不明の少年達のその後の成れの果ても。
もっと。もっと!!と。
『GOTH』ではその辺りの欲望が十二分に満たされただけに
本作のこの物足りなさは残念でなりません。


それとこれは私個人の趣味の問題ですが
「淡々とした文章」と言えば聞こえは良いですが
「〜した。」「〜だった。」を多用する作文のような文体が少々気になりました。
これが『夏と花火と私の死体』だけのものであったら
語り部たる「私」は9才の少女なのですから「演出」という事になりますが
しかし『優子』でもこの文体なのですもの・・・うーむ。


と、ここまでなんだかんだと書いてきましたが
取り扱うテーマや内容は、やはり非常に私好みなのですよ!!
ですから他の作品も読んでみたい。です。読んじゃうよ。
16歳の時に書いたという本作から、現在どのように成長を果たしたのか
そういった意味でも、他の作品とても楽しみです。
さて、次は何を読もうかな〜。


あと最後に。まあ余談ですが。
いくら寒いからといって、女性社員が一人しか足を踏み入れない倉庫なんて・・・
無いよねぇ・・・。


[ amazon詳細 : 『夏と花火と私の死体』 / 文庫『夏と花火と私の死体』 ]



☆関連記事
「GOTH」 大岩ケンヂ/乙一
「ZOO(1)」乙一 カザリとヨーコ/SEVEN ROOMS
「ZOO(1)」乙一 SO-far そ・ふぁー/陽だまりの詩/ZOO
posted by 麻吉 at 2006/06/01 21:08 | Comment(2) | TrackBack(5) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「小林洋介の最後の事件―多重人格探偵サイコ」 大塚英志

小林洋介の最後の事件―多重人格探偵サイコ (角川文庫)

小林洋介の最後の事件―多重人格探偵サイコ
大塚 英志 / 角川書店 (2002/04、文庫2003/05)


評価:★★★★★(満点!!)


角川スニーカー文庫(98/6刊行)
多重人格探偵サイコ1 情緒的な死と再生
講談社ノベルズ(02/4刊行)
多重人格探偵サイコ―小林洋介の最後の事件
を加筆、訂正した、ほぼ同内容の作品です。
(ちなみに私が所持しているのはこの2作品の方で写真の書籍は未所持)


多重人格探偵サイコ』のノベライズ版。
しかし、コミックの内容を文章化したものではなく
サイドストーリー的なもの
いやむしろコミックで語られなかった謎の多くが
こちらで解明されていると言っても過言ではありません。
重要な位置づけにある書籍だと思います。

初出展がライトノベルのレーベルから
という事からもお分かり頂けると思いますが
厚みもそれほどではなく、とても読みやすい。
サラリとすぐに読めてしまいます。しかし内容は濃いですよ!!

ちなみに本作は
・島津寿の事件の詳細
・雨宮一彦が投獄されたT刑務所内で起きた事件
が主な内容。
そう、皆さん。ハヤニエの遺体の頭部に書かれた数字について
疑問に思ったことはありませんでしたか・・・?
島津の事件はコミックではほとんど語られていなかったことなので
とても興味深く、非常に面白かったです。
11巻で再登場していた事ですし、これを期に如何ですか?
あと801好きな乙女心をくすぐる展開も有りデス。ほほ


小説版は他にも『雨宮一彦の帰還』『西園伸二の憂鬱』と
あと二冊発刊されていますが
私は本作が1番好き。お勧めです。


【注意】
コミックを未読な方にはお勧めできません。
あくまで本筋を踏まえた人向けのサイドストーリー本です。


[ amazon詳細 : 文庫『小林洋介の最後の事件―多重人格探偵サイコ』 ]



☆関連記事
「多重人格探偵サイコ」関連本まとめ
posted by 麻吉 at 2006/05/04 14:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「殺人鬼」 綾辻行人

殺人鬼 (新潮文庫)

殺人鬼
綾辻 行人 / 新潮社 (1996/01)


評価:★★★☆☆


人里離れた山中でのサマーキャンプ。
突如現れた謎の殺人鬼によりメンバー達が次々と・・・。
いわゆる『13日の金曜日』でのジェイソンさんを
思い浮かべて頂ければ間違い無いかと思います。
それに加え、さすが綾辻氏と言えるどんでん返しの展開が!!
そんな小説です。


この小説での見所は、たぶんきっと
その最後の驚きの展開部分なのだと思うのですが
そこに到達するまで繰り広げられる
あまりにも過酷で残虐な表現の氾濫に
そちらの方の印象が強く、私的には驚き感は薄かったです。
勿体無いなー。

ちなみにその残虐な表現ですが
グロ表現に強い私が本気で気分悪くなり
電車を途中下車したほどの強烈なグロテスクさでした。
ただ殺されるだけではない。これでもかといたぶられる人々。
舐めてかかると痛い目にあいますよ。
ご注意下さいね。


面白かったですけれど
声を大にしてお勧め!!とは言い辛い一品ですね(笑)。
スプラッタホラーが好きな方には是非!!です。


[ amazon詳細 : 『殺人鬼』 ]
posted by 麻吉 at 2006/04/29 23:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「百器徒然袋―雨」 京極夏彦

百器徒然袋―雨 (講談社ノベルス)

百器徒然袋―雨
京極 夏彦 / 講談社 (1999/11、文庫2005/09)


評価:★★★★★(満点!!)


榎木津好きにはたまらない!!
薔薇十字探偵社で巻き起こった奇妙な事件の短編集です。
京極堂シリーズの番外編。

薔薇十字探偵社が中心とはいえ
本編の主力陣が全員登場しますので
本編が好きな方ならどたなでも楽しめるのではないでしょうか。

この番外編のシリーズを読んでいて感じた事は
まるで自分が参加しているような幸福感。

この作品は一人の平凡な男性が
全編通して主人公となっているのですが
彼がとても普通の人の為、感情移入がし易く
あたかも自分が彼に成り代わり
あの可笑しな面々の中に入り込めたような
気持ちになれるのです。

それは京極堂シリーズが好きな方には
たまらない幸福だと思うのですが如何でしょうか?

最後に
本編の内容後日談が多く登場します。
本編を完読してからお読み下さい。


[ amazon詳細 : 『百器徒然袋―雨』 / 文庫版『百器徒然袋―雨』 ]



☆関連記事
「魍魎の匣 (1)」 志水アキ 京極夏彦
posted by 麻吉 at 2006/04/27 21:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「落ちるなキケン!WEBデザインの落とし穴」 web creators編集部

落ちるなキケン!WEBデザインの落とし穴

落ちるなキケン!WEBデザインの落とし穴
web creators編集部 / エムディエヌコーポレーション (2003/09)


評価:★★★★☆


本当に基本的な事なのです。
それを間違えただけでこんな大変な事になってしまうとは!!
自分のウェブ環境ではきちんと表示されていても、
他の人から見たらそうではない。
そんな情報が目白押しです。

本当にこれを読んでかなりの手直しをしました。
目から鱗の一冊です。
サイト管理人さんは一度目を通しておく事をお勧め致します。


[ amazon詳細 : 『落ちるなキケン!WEBデザインの落とし穴』 ]
posted by 麻吉 at 2006/04/27 21:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「殺戮にいたる病」 我孫子武丸

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

殺戮にいたる病
我孫子 武丸 / 講談社 (1996/11)


評価:★★★★★(満点!!)


都内で起こった女性ばかりを狙った猟奇的な殺人事件。
犯人の名前は『蒲生稔』。

彼の視点
息子が犯人なのでは無いかと疑いを抱く蒲生雅子の視点
そして犯人を追う刑事と、被害者の妹の視点が絡み合い
衝撃の結末へと一気に突き進みます。

本当にあの最後を知った時の、電撃が走ったかのような驚愕。
すぐにもう一度読み返しました。
たぶんこの小説を読んだ半数以上の人達が
同じ事をしていると思う。
読み返さずにはいられなかった。

殺害描写が非常に細かく、頻繁に登場する為
グロテスクなものが苦手な方にはお勧め出来ませんが
しかし、あの最後の最後の驚愕感は
是非沢山の方に体験して欲しいと思います。
騙されたと思って読んで下さい。
そして貴方も騙されるといい。

これはホラー小説ではありません
確実にミステリー小説です。


[ amazon詳細 : 『殺戮にいたる病』 ]



☆関連記事
「殺戮にいたる病」 我孫子武丸 ※再読
「腐蝕の街」 我孫子武丸
「屍蝋の街」 我孫子武丸
posted by 麻吉 at 2006/04/27 21:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。